すっかり慣れたここでの生活も、結構な時間が過ぎていた。
布団に入って思い起こす事は、決まってここ最近の事ばかり。
最近では、すっかり由良さんのお店のお客さんとも顔馴染みになり、隼人君や由良さんの旦那さんとも親しくさせてもらっている。
しまいには、瑠衣斗のご両親のお仕事のお手伝いまでやらせてもらった。
ここに来て、本当によく眠れるようにもなった。
いつもみんなが一緒だから、寂しく思う事も一切なかった。
でも、残り少ないここでの生活を思うと、寂しさも募る。
そして、それとは別の胸の苦しさに、私は眠れずにいた。
これをきっと、世間じゃ奇病とも呼ぶのかもしれないな…なんて他人事のように考えて、虚しさに笑えてきてしまう。
目を閉じれば、浮かび上がるのは当時の風景。
ここへ来てまで、こんな記憶が鮮明に蘇ってきてしまう程、体に染み付いてしまっている記憶。
体内サイクルとでも言うのだろうか。
いつもある日を境に、こんな日々がやって来る。
近くにはみんなが居るのに、気が紛れる事はなかった。
それどころか、胸の苦しさは、日々増していくばかりだった。