きっと龍雅が瑠衣斗ばかりに絡むのは、宗太が相手だと怒られるから。
俊ちゃんに絡むと、今度は美春に怒られるから。
だから行き着く先は、いつも瑠衣斗なんだ。
「おいもも。コイツの弱点を教えてくれ」
「るぅの弱点?」
どうしても、瑠衣斗から何か勝ち取りたいらしい龍雅が、真剣な顔で私を覗き込む。
私は美春は、いつも一緒に居るから何とも思わないけれど、きっと他の女の子なんか、こんな龍雅にドキドキしちゃうんだろうな。
子供みたいにふざけながらも、時折見せる真剣な表情は、やっぱり格好いい。
「う〜ん?脇腹」
別に躊躇する理由も、教えない理由もない。
だから私は、すんなりと瑠衣斗の弱点を吐いてみた。
「げ。おいもも!!俺を簡単に売るなよ!!」
「え?私売ってないよ。教えたの」
「そんなのどっちだっていい!!」
ニヤリと笑った龍雅が、くるりと瑠衣斗に体勢をむき直す。
この執着心を、勉強なんかに向けられたらねえ………。
「勝負じゃー!!」
「だから何の勝負なんだよ!?」
一気に襲いかかった龍雅に、心底嫌そうな、迷惑そうな顔で逃げようとする瑠衣斗。
私が美春みたいに怒るようになったら、龍雅はどうなるんだろう?
そう思うと、何だか可笑しくて笑えてしまう。
「もも、俺を助けてくれ」
「ぐ…し、絞め…られてる…のは…う…お、おれ…」
みんなとの楽しいこの時間が、このまま続けばいいのに。
ねえ神様?私のこんな願いは、贅沢な願いなのでしょうか。