「お前ら…暑苦しい」
げんなりと言った慶兄の言葉に、瑠衣斗がピタリと動きを止める。
「俺だって龍雅にベタベタされたくねえよ」
「俺がるぅにベタベタ!?俺がベタベタすんのは女の子だけだ!!」
「…だったら…いい加減やめろよ」
騒がしくバーベキューを済ませた後、何故か柔道の寝技のかけ合いが始まっていた。
突然瑠衣斗に、力比べだ!!と襲いかかった龍雅は、簡単に瑠衣斗に一本取られてしまい、そこから加熱してしまう。
そして何故か、必ずと言っていい程簡単に負けてしまう龍雅。
運動神経の抜群な瑠衣斗に、無謀にも龍雅が勝負を挑むのは、高校の頃から変わらない。
「ぐあぁ…っ…ぎ、ギブ」
「弱っ。ビックリするわ」
簡単に瑠衣斗に絞め上げられていた龍雅が、苦しそうにギブアップする。
本当に、何故こうも男の人は、何でもかんでも勝負をするのだろう。
「何なんだよテメー!!俺はるぅには勝てないのかあ!!!!」
叫ぶ龍雅に、思わず笑いが漏れる。
「ねえ龍雅。るぅが有段者だって事、忘れてない?」
「………はっ!!!!忘れてた!!勝てる訳ねえよ!!バカ!!」
「私にバカ言われてもね」
もう呆れるしかないらしい瑠衣斗も、かすかに笑みを浮かべている。
そして、いつまでも悔しがる龍雅は、宗太に頭を軽く叩かれ、うるさいと叱られた。
「宗太あ!!慰めてくれよ!!」
「俺はお前の彼女か」