「そう…なの?」



「そ。だからまあ…前行ったバーベキューでも、春だっただろう?」



「そうだけど…」



そこまで考えて……?



むしろ心配しすぎだし、徹底しすぎだし、大袈裟すぎるよ…とでも言いたいが、そんな優しさに胸が熱くなる。



そこまで気を回さなくても、と思ったが、そこまで気を回す程、私は酷い状態だったのか、と思い、何だかいたたまれなくなる。



「まあ、龍雅は水着より、浴衣派らしいし、宗太は夏より冬派らしいし、美春と俊は冷房がないと夏は生きていけらいらしいし」



「あぁ…そうだね。知ってる…けど…」



「うーん、ま、共通して言える事は、みんなももが大好きなんだよ」




嬉しい言葉に、顔が熱くなるのが分かる。


気持ちが満たされるって、きっとこう言う事を言うんだ。


何だかぽかぽか胸が暖かくて、優しい気持ちになれるんだ。



「でもな、きっと瑠衣斗がももの水着姿なんて見たら、大変な事になるのは簡単に予想つくだろう」



大変…大変…な事になっちゃうんだ?



クスクスと笑う慶兄は、楽しそうに肩を揺らす。


そうしながらも、手際よく火をおこし、バーベキューの準備も整ってしまった。



「俺は見てみたいけどな?ももの水着姿」



「えっ!!き、着れない着れない!!水着なんて無理!!」



「そんな事ないぞ?スタイルも良いんだから」




五月蝿い程の蝉の鳴き声が、私達の笑い声に負けないよう、対抗している。



私の知らなかった事を1つ知り、何だか宝物を見つけたような気分だった。