「うっわ、バカてめー冷てえ!!」
「ぎゃははは!!おーいもも!!るぅが川落ちたー!!!!」
「お前が落としたんだろうが〜!!」
騒がしい声に振り返ると、龍雅がお腹を抱えて大笑いしている。
足元を見ると、川の中で尻餅をついて、しっとりと濡れた瑠衣斗が龍雅を睨みつけていた。
すっかりこの土地にも慣れ、今日はみんなで近くの川へとバーベキューをしに遊びに来ていた所だ。
燦々と降り注ぐ日差しは、すっかりと夏に様変わりし、暑さに汗が自然と吹き出してくる。
暦はもう、8月に入った。
「あ〜もう。着替えないし、どうすんの〜?車濡れちゃうよ?」
「俺の事…少しは心配して…」
チラリと向けられた瑠衣斗の瞳は、恨めしそうに私を見る。
元気のなくなってしまったように、髪までしんなりしてしまい、全身びしょ濡れだ。
「こんなけ暑けりゃ、自然と乾くだろう」
「人事だと思って…」
「何してる。早く上がってこいよ。それともまだ水遊びしていたいのか?」
慶兄の言葉に、グッと言葉を飲み込んだように、言い返す事ができないらしい瑠衣斗は、ガバッと勢い良く立ち上がる。
途端、ザバー…と服から大量の水が滴り落ち、何とも可哀想な有り様だ。
「うはは!!行水か!!」
「…俺は修行僧にはならねえ!!」
「だはははは…は…は!?え!?ウソ!?ちょっ…とまあぁぁ〜〜!!!!」
すっかりとご立腹の瑠衣斗が、グシャグシャと濡れた音を立てながら龍雅に近付くと、抱え込むようにして思い切り龍雅を川へ投げ捨ててしまったのだった。