私…なにやってんだろう。


急に、どうしちゃったの?




ハッと意識を覚醒させた私は、震える喉をかばうように、ゆっくりと口を開けた。



迷惑を掛けちゃいけない。


私が慶兄を引き止める権利なんて、一切ないのに。



「慶兄ごめ…ごめん」



「謝る事じゃない」




私が私で、自分で解決しなきゃいけない事。


現実と向き合わなかった過去が、今更私を現実へと突き落とそうとする。



私らしくない。自分の弱気な言葉に、思考が混乱する。



「甘えろって、言っただろう?」


「……え?」



「瑠衣斗は、ももを1人にした事はあるか?美春も、みんなも」



優しい慶兄の言葉に、胸が締め付けられる。


顔を上げた先に、美春の泣き出しそうな顔と視線が絡む。



いつの間にか、私は臆病になりすぎていたのかもしれない。


周りの事に目が向けられない程に、自分の事だけでいっぱいいっぱいだったのだ。



「居なくなるワケねえだろうが」



その言葉と同時に、なにも言葉も出てこない私は、暖かいぬくもりに包まれた。



「もも。いい加減素直にならないと、コイツが泣くぞ」



「泣きはしねえよ」




瑠衣斗にぎゅうぎゅうに抱きすくめられ、突然の出来事に意味の分からない私は、ただ呆然とするしかなかった。




「美春はもう泣いちゃう…うっ」


「もも。美春が泣くと、俊も泣くぞ」



「うん。何か振られた気分になる…」



私、こんなにもみんなに、そばに居てもらったんだ。