「瑠衣斗、ちょっと」



そう言って、慶兄が瑠衣斗と代わるようにして私を見つめる。


見たこともないような、真剣な眼差しで。



居なくなっちゃう。

みんな居なくなっちゃう。


私は…―――。



「居なくならない。俺は帰ってくる」



私、またひとりぼっちになっちゃうの?



声が出なくて、息が上がる。


喉が絞るように、気管が狭くなってしまったようだ。



「みんなも、居なくならない」




熱いものがこみ上げてくるようだが、それは溢れる事はない。


泣いたら、現実になってしまうような気がするから。




「ひとりぼっち…に…なっちゃう…」



「ならない」



「だって、みんな…みんな、帰ってこなくなっちゃった…」



「もも、俺達は生きてる」





現実を、初めて知ったような感覚に陥る。


頭から雷が抜けるように、全身に衝撃が走る。



慶兄の言葉に、強張っていた体中の力が抜けていく。




分かってる事なのに。


私はどこかで、現実を受け止めきれずにいたのかもしれない。