「嘘?嘘ついてるんでしょ?」



私の空笑いが、部屋に虚しく響き、溶けていく。


何かドッキリとか仕込まれてるんじゃないの?

嘘だよね?



「またみんなで、私を驚かそうとしてるんでしょう?」



何も私に返ってこない、答え。



瑠衣斗の、感情の読めない無表情な顔。


頭の中の思考と、感情がついてこなくて、身動きがとれなくなる。



どうして?



「あのな、もも」



やだ。聞きたくない。



そう思うのに、言葉は出てこないで私の中に消えていく。



大切な人が、居なくなっちゃう。



「慶兄も…居なくなっちゃうの」



また、居なくなっちゃうの?




私は今、何を考えているのだろう。


自分が自分じゃないみたい。


いつか感じた事のある、胸の苦しさと空虚感。



「もも?どうした?」



体が強張る。

震える。



瑠衣斗が私の肩を揺さぶり、顔を覗き込む。


心配したように眉を寄せた瑠衣斗が、じっと私を見つめる。



「るぅ…るぅも居なくなっちゃうの?美春も…みんなも……」



譫言のように言う自分の言葉が、自分ではないようで。



脳裏に蘇る、様々な記憶。