アメリカ……?
「結構前から、来てほしいと頼まれててな」
頭の中が、クリアになる。
慶兄の言ってる言葉に真実味がなく、まるで夢でも見ているような感覚だ。
慶兄が……?
「俺自身、夢みたいなモンだったし、それにもっと勉強して、技術も確かなものにしたいんだ」
「それ…いつ……」
いつから…そんな話があったの?
いつから…慶兄はそんな事考えていたの?
これ以上は言葉が詰まってしまったように、出てこなくなる。
「瑠衣斗には悪いけど。ももに告白する前かな…ももが倒れて俺の病院に来た時ぐらいだ。俺自身、将来的には…って考えてはいたんだけど、」
息が詰まってしまったようで、胸が苦しい。
頭が押さえつけられたように、痺れる。
「あの時、物凄くももを見守りたいと思ってな。一度は断ったんだ」
あの時の記憶が、一気に蘇る。
私のため…?私のために…夢を一度諦めてまで……?
「でも、もう安心して、気兼ねなく向こうに行けるだろう?」
「いつ…決めたの?」
そんな私の小さな声に、慶兄がふわりと笑う。
でも何だか少し、悪戯っぽく。
「今日だよ」
私…なんてバカなんだろう。
何にも、慶兄の事知らなかったんだ。