「ももに報告があるんだ」
ふと慶兄から告げられた言葉に、連れられるようにパッと顔を上げる。
報告?私に…?
報告…って…なに?
慶兄から私に報告される事なんて、全く思い当たらない。
ぶつかる視線に、私は眉を寄せた。
「おい慶兄、待てよ」
その途端、瑠衣斗の少し怒ったような、焦ったような声が割ってはいってくる。
え?なになに?どーゆう事?
訳の分からないままの私は、ただ戸惑ったまま視線を右往左往させるしかない。
宗太と龍雅は完璧に落ちてしまったようで、規則正しい二つの寝息が部屋に響く。
「るぅ、黙ってる方が俺はよっぽど酷いと思うぞ?」
「………」
ハッキリとした俊ちゃんの言葉に、瑠衣斗が何も言わずに小さく舌打ちする。
全く意味の分からない私は、思わず隣に座る美春に目を向けた。
「……え?なに…?」
目が合った美春は、小さくフッと笑うと、そのまま何かを噛み締めるようにして俯く。
まるで何かを堪えているような、そんな表情に胸が騒ぎ出す。
「俺、アメリカに行く事になったんだ」
部屋に響く、慶兄の声。
それが染み入るように、私の胸へと届いた。