「おい、龍雅に宗太。もうやめとけ」
「慶兄……もっと早く言ってくれる…?」
私の気持ちとは裏腹に、明るい慶兄の声。
げんなりとして言う宗太は、今にも突っ伏して寝てしまいそうだ。
対して龍雅は、返事をする様子もなく、完全に座った目でただぼーっと一点を見つめている。
「いや、面白くてつい」
楽しそうに笑う慶兄が、ふいに美春に目を向ける。
美春は妊婦さんともあって、私と一緒にオレンジジュースを飲んでいた。
そして、ふと向けられた慶兄の視線に、不思議そうな顔を返した。
「子供は順調か?」
「…ん?うん。元気に育ってるよ!!」
「そうか」
いたって普通の会話なのに、やっぱり違和感を感じる。
さっきからずっと何も喋らない瑠衣斗に、何故か違和感を感じる慶兄。
何だろ…るぅと慶兄…喧嘩でもしたのかな?
だんだんと不安になってきて、思わず2人を見比べる。
すると、タイミング良く慶兄と目が合い、思わず固まる。
明らかに動揺しているに違いない私は、思わずぐっと口を噤んだ。
「言ってなかったけど、ももおめでとう」
え。おめでとう…?って、あっ…あぁ、るぅの事…だよね。
「う…うん」
改めて言われると恥ずかしくなってしまい、思わず俯いた。
きっと私、すっごい不自然なんだろうな。