「もうこの際、こっちでくっつけちまえってな」



「ね〜♪だってるぅちゃん、いつまでたってもウジウジしてるから〜」



そんな事を言う慶兄にも驚きだけれど、そんな話が持ち上がっていた事にも驚きだ。



てゆーか…一体みんな、私が知らない所でどんな会話してるの……。



呆気にとられたままの私は、口を開ける余裕なんてない。


ただ目の前で繰り広げられている会話に、ついて行く事で精一杯だ。




「なんだ、やっぱり瑠衣はヘタレなんだなあ」



「本当にね!!私と慶の弟とは思えない!!」



おじさんと由良さんが、瑠衣斗を面白がるようにそう言うが、瑠衣斗はバツが悪そうに視線をそらすだけだ。



何か言いたげにも見えるその表情は、頬をほんのりと紅くし、眉間に皺を寄せて怒ったようにも照れたようにも見える。



「なんだよ…ウジウジなんてしてねえ」



ポツリと言う瑠衣斗は、それっきり口をグッと閉じて視線を誰とも合わさないように伏せてしまう。



「だはは!!るぅちょーおもしれえ!!何だおまえー!!」



「俺は面白くもなんともねえ!!」



そんな様子の瑠衣斗に対して、龍雅が堪えきれないようにして笑う。



なんだろ…これで…良かった?のかな。


ピンと張り詰めていた心の糸が、緩やかにゆるめられていく。


みんなの様子にホッとしながらも、なによりも美春の反応に胸を撫で下ろした。



あんなに悩んだのに…別に悩む必要なんてなかったんだ……。


何だか気持ちに余裕が出来て、ふっと頬を緩める。



良かった……。



美春が…みんなが笑ってくれて、本当に良かった。