そう言って私の顔を見つめていた隼人君が、小さな手を私のお腹に当てる。
…えっ。ええぇっ!!
わ、私は妊娠してないんだけどな……。
「は、隼人君…?私のお腹には赤ちゃんは居ないんだよ」
戸惑いながらも笑顔を向けると、周りからクスクスと笑い声が漏れる。
見ると、みんなが穏やかな顔で私と隼人君のやり取りを見ていたようだ。
「あかちゃんいないの?」
「う、うん。居ないの。隼人君も、ママのお腹に居たんでしょう?」
「うん!!ママのおなかにいた!!パパとママのあかちゃんだったんだよ」
ニコニコと笑う隼人君に、胸がキュウンとする。
こんな可愛い子、私も欲しいっ。
隼人君にメロメロになる私は、次の瞬間そんな隼人君の言葉により、固まるハメになる。
「るいと、もものあかちゃんは、いつもものおなかにくるの?」
「…………え…」
「るいと、もものあかちゃん!!」
一瞬の間があった後、大きな笑い声がどっと沸く。
な…なんて答えれば……。
「るぅちゃんともも…?」
そんな中、ポカンとした表情の美春が目に入る。
訳が分からないような雰囲気の美春が、私と瑠衣斗を大きな瞳で交互に見つめ、私で目を留めた。
そうだ。そうなんだよね。
いつ言おうか悩んでて、結局報告をするタイミングもなかったんだ。
何となくどうしようかと悩みながら、チラリと瑠衣斗に視線を向ける。
見ると、顔を赤くして口を噤む瑠衣斗が、私をじっと見つめていた。