「やっと着いた…」
「俊…だから新幹線にしとけば良かっただろ…」
げっそりとした声に、パッと目を向けた。
それと同時に、胸がドクンと合図する。
「俊ちゃん……慶兄…」
小ぶりな荷物を抱えた慶兄と、何やら沢山の大きな荷物を抱えた俊ちゃんが、車から歩いてきている所だった。
「おす慶兄!!なんか久しぶり!?」
「う〜ん…かな?龍雅は相変わらずだなあ」
「慶兄誰か地元のツレ紹介してくれ!!年上のおねいさん!!」
早速龍雅に絡まれている慶兄を、私は胸の詰まる思いで見つめた。
まだ慶兄も、美春も俊ちゃんも、私と瑠衣斗の関係は知らない。
一体どう反応するのだろう……。どう思うんだろう。
そう思うと、何だか怖くなってきてしまう。
頑張れって慶兄は言ってくれたけど……でも、やっぱりすごい緊張しちゃう。
「ん〜…居れば、な」
「え!!なんか物凄〜く微妙な返事しないでくれる!?」
相変わらずな龍雅は置いといて、慶兄の様子をそっと伺う。
その瞬間、バッチリと目があってしまい、思わず目が離せなくなる。
「もも、楽しんでるか?」
「え…あっ、ああ、うん」
「そうか。なら良かった」
瑠衣斗が気になったが、今は身動きが取れない。
やっぱりまだ私を抱き締める美春を、俊ちゃんが恨めしそうな瞳で見つめてくる。
ああ、そうだ。こっちの事も何とかしなきゃ……。