その笑顔が優しすぎて、私が口を挟む余裕なんてなかった。
「あのな、ももは俺のだから、俺と寝るんだよ」
…うん。…ひょっとしなくても、るぅって酔ってたりするのかも。
「えー…はーくんも一緒にねたい〜」
「隼人にはママが居るだろう?パパも寂しがるんじゃないか?」
一見頷いてしまうような瑠衣斗の言葉ではあるが、私はあわあわと慌てる羽目になる。
意味深な顔でそんな会話を聞く周りの人達の視線に、瑠衣斗は気にする様子もなく隼人君に微笑む。
「う〜ん…そうだね…」
優しく言い聞かせるような瑠衣斗に、隼人君が少し考えるような顔をする。
素直な隼人君に、可愛いなぁなんて思うけれど、逆にこんなにも素直な瑠衣斗には、ドキドキさせられてしまう。
周りなんてお構いなしに、ひたすらに私を求める。
嬉しくもあるが、恥ずかしくてたまらないのも本音であって。
「瑠衣にはもったいなさすぎるわねえ〜…」
「…なんだよ」
おばさんの言葉に、分かりやすく反応した瑠衣斗が、眉を寄せながら不機嫌そうに見つめる。
そんな様子に、おばさんとおじさんは意地悪そうな笑みを浮かべたままで、実に楽しそうだ。
「たまにはももちゃん、貸してね」
「は?貸すってなんだよ」
「一緒にお出かけしたり〜♪とにかく、あんたはももちゃんにくっつきすぎなのよ!!そのうち、嫌われるわよ〜?」
「!?」
分かりやすいおばさんの意地悪な台詞すら、真に受けてしまう瑠衣斗って、やっぱり本当に素直なのだろう。