キラキラと子供のように笑う瑠衣斗が、私の心を鷲掴みする。
思わずキュウンと胸が切なくなって、唇をグッと噛み締めた。
あぁダメだぁ…。
心臓が痛い。るぅが可愛い。
私、やっぱり痛い。
「しねえの?チュウ」
覗き込む瑠衣斗の瞳に、慌てて考えを中断させる。
目を細めて見上げる瑠衣斗に、眉間に皺が寄せられる。
なるほど。元ヤンだったからそりゃ迫力あるよね。
どうりで昔から貫禄がある訳だ。
「何だその顔…」
「えっ」
「別事考えてただろう」
「るぅの事だよ」
私の言葉に、分かりやすく嬉しそうに反応する瑠衣斗に、私は間違えてしまったようだ。
素直になりすぎた。
「るぅのその睨み付ける顔って、元不良だから貫禄があるんだなあって」
言ってすぐに、後悔する。
「…よっぽどペナルティが欲しいみたいだなあ」
「…!?」
寄せられた眉は、緩む事なんてなく、もちろん私を逃がす事なんてしない。
誰もいない教室に、私と瑠衣斗の声だけが響く。
時間なんて気にする事もないまま、私達は遠回りした分を埋めるように笑い合った。
沢山の想いを抱えた私達は、まだ知らない事だらけだろう。
でもこれからは、少しずつ向き合っていこうと、前に進もうとする勇気が持てた。
そして私は、学習していくのだろう。
瑠衣斗の取り扱いを。
意地悪で、頑固で、素直じゃなくて、でも本当は驚くほど素直で、寂しがり屋で、とびきり優しい瑠衣斗を、私はこれからも沢山知っていくのだろう。