「前に告白失敗したからなあ…今回はちゃんと言ったぞ」



きっと瑠衣斗は、物凄く悩んだのだろう。


瑠衣斗と一緒に居る事で、私が家族の事で辛くなる事があるようなら、決定的な事は言わないようにと。



やっぱり、私を第一に考え、自分の事なんてどうでもいいとでも言うように。




「おい、俺はあと何分片思いしなきゃなんねえんだ?何か言えよ。寂しいじゃねえか」




何だかおかしくなってきて、小さく笑いが漏れた。


泣いたり笑ったり、私何か忙しいなあ。



嬉しくて、何だかもったいなくて、今の気持ちをずっとこうして味わっていたい。



「ね…るぅ?」




物凄く鼻声な自分の声に、ちょっとガッカリする。


私の言葉に反応した瑠衣斗が、抱き締めた腕に力を込めてくる。




ぎゅうぎゅうと抱きすくめられ、くすぐったくて思わず顔を上げた。



「くすぐったいよ」



「ももが何も言わねえからだろう」




拗ねたように言う瑠衣斗が可笑しくて、顔が綻ぶ。


優しく涙を拭ってくれると、その手がそのまま頬に優しく添えられる。



そして瑠衣斗の顔が、怪しい笑顔を浮かべて私を見つめる。



「なに?そんなにいじめられたい?」



「へっ……」



思わず固まる私に向かい、今度こそ瑠衣斗がニヤリと笑う。



「いい度胸だ」