そっと頬に手を添えて、私はゆっくりと瑠衣斗の瞼に口づけた。


瑠衣斗が私にしてくれたように、そこから私の気持ちが全部伝わればいいのに。


立ち膝のまま瑠衣斗を抱き締めていた私の腰に、ゆっくりと瑠衣斗が腕を絡める。


少しだけ私の方が高い位置になるせいか、自然と瑠衣斗が上目で私を見つめる。


ほんの少し濡れた頬を、私は指先だけで拭ってやる。


フッと口元に笑みを浮かべた瑠衣斗に、胸がギュッと過剰に反応する。


花が綻ぶような微笑みに、切なさが胸一杯に広がるようだ。



「ホントに…お前は何モンなんだ……」



私はこの人が、好きで堪らない。愛おしくて愛おしくて、何よりも大切で仕方ない。



私とるぅって、何だか似たもの同士だね。


素直じゃないし、可愛くない。

強がりで負けず嫌いで、本当にどうしようもない。



「…何だろうね?るぅの抱き枕?」



「物になっちまうのか」




腰に回された腕に、グッと力が加わる。


強く引き寄せられると、その手が私の後頭部に添えられ、離れないように私を制する。



「じゃなんて言えばいいの…」



間近に迫る唇に、息をする事さえ躊躇われる。



熱い視線に、頬が熱くなり、そんな視線から目がそらせない。



私の質問に答えないまま、瑠衣斗が優しく笑う。



もう、本当にズルいよ。


そんな顔、普段しないのに…今するなんて、本当にズルいよ。



髪に指を入れ、優しく頭を撫でる大きな手のひらに、背筋がゾクリとした。