るぅが、想いを吐き出せる場所でありたい。


私の前では、無理する事なんてしてほしくない。



今までどれだけ、瑠衣斗はいろいろな事を我慢してきたのだろうか。



私は今まで、本当に瑠衣斗に無神経な事ばかりしていたんだ。



「ねえるぅ…私、るぅが居れば平気なの」



「…平気?」



ゆっくりとようやく顔を上げた瑠衣斗に、私は微笑む。


子犬のような目で、私を不安げな瞳でみつめる瑠衣斗が、好きでたまらない。


こんなに、今にも消えてしまいそうな、押し潰されてしまいそうな瑠衣斗を、私は支えたいと思った。


そして、こんな瑠衣斗は、初めてだった。



本当に瑠衣斗は、強い人だ。


でもそれは、人の痛みが分かる人だから。


辛さを知っているからだろう。



「るぅの事がね、大好きって思ってから……私ね?るぅの事ばっかなの」



小さく揺れる瞳から、目がそらせない。


今度は私が、瑠衣斗の事を守る番だと思うから。



「辛いって思う事も、切なくなる事も、もっと一緒に居たいって思う事も、笑顔が見たいって思う事も…会いたいってたまらなく思う事も、……全部るぅなの」



私を見つめる瞳が、ゆらゆらと揺れる。


笑ったような、困ったような顔をした瑠衣斗は、私から目をそらさなかった。




ゆらゆら揺れていた物が集まると、一筋の雫となって瑠衣斗の頬を伝った。



見とれてしまう程綺麗なその光景に、こんなにも綺麗な涙がこの世にあるんだと知った。


いつか見た事のあるような光景に、遠い記憶が蘇る。



あの時も、綺麗だと思った涙。



何だかるぅって、本当にズルいよ。

何をしても、絵になっちゃうんだもん。



「るぅがそばに居てくれるからもう私、向き合えるよ。……ありがとう」