私の言葉に、ピクリと反応した瑠衣斗が、グッと身を固めたようだった。
そんな瑠衣斗から体を離し、ゆっくりと顔を上げた瑠衣斗の瞳を見つめた。
不安定に揺れる瞳は、私をじっと見つめている。
そんな瞳を見つめながら、私は口を開いた。
「気付いてあげられなくて、ごめん。それでも私、るぅが好き」
見つめていた瞳が、切なげに細められる。
色素の薄い、宝石のような瞳に、私は魅了されてしまったのだろう。
「私、るぅが思ってる程、そんな弱くないし、るぅ1人くらい簡単に受け止めれるけど?」
桜と海を見に、バーベキューをしにみんなで行ったあの日。
2人でコンビニまで歩いた道のりで、初めて聞いた家族の事。
あの時の悲しそうな目を、今の瑠衣斗はしている。
何か線が繋がったようで、私の記憶と結び付く。
「ホントに…お前には勝てる気しねえ」
フッと小さく笑う瑠衣斗に、私は両手を伸ばした。
図体はでかいクセに、何でこんなにも顔がちっちゃいの。
柔らかい頬をそっと撫でていると、愛おしさで切なくなる。
じっと見つめる瞳が、私の心を鷲掴みするようで。
驚いたように目を見開く瑠衣斗を最後に、私は目を閉じてそっと唇を重ねた。