「私…聞いても…いいの?」



話す側に、沢山の勇気が必要なら、聞く側にだってそれなりに受け止める事が必要だ。


私はそれを考えてしまう事で、言葉にする事をやめた。



哀れに見られる、そんな目が嫌でたまらなかった。



るぅが今まで話さなかったのは、るぅもそう思っていたから?


私が何も言わないように、るぅも何も言わないで抱えていこうと思っていたから?



「俺は…ももにずっと言わないつもりだった」



瑠衣斗の声は、私の服でくぐもったように聞こえてくる。



「俺の話を聞く事で、ももが離れてくんじゃねえかって…居なくなるんじゃねえかって」



何も言わない私に、瑠衣斗は落ち着いて言葉を続ける。


時折、確かめるように私の背中を撫でる瑠衣斗に、胸が切なさでいっぱいになる。



「ももが、家族の事、思い出して1人で泣くんじゃねえかなって」



本当にるぅは、優しいね。


私はそんな瑠衣斗の優しさも、抱えている辛さにすら、気付けなかったのに。



ずっとずっと、私の事を考えて、そばに居てくれたんだね。




「だから、俺の気持ちも言わないつもりだった。全部知ったら、離れてくと思って」




そして、本当にとってもお馬鹿さんだね。



こんなにも態度も図体も大きいクセして、こんなにも臆病で怖がりで。


いつの間にかこんなにも、私は瑠衣斗が好き。



…でもね。




「るぅ、ごめん」