「ねえ、るぅ?」



私、るぅに聞きたい事がたくさんあるの。


るぅの事だから、全部知りたいの。



「…俺の話…聞いてた?」




私の言葉に、少し納得のいかないような顔をした瑠衣斗が、軽く眉を寄せて私を見つめる。



「聞いてたよ」




これだけ一緒の時間を過ごしていても、きっとお互い知らない事だらけ。


それはなぜだか分かる…?



「話さなきゃいけない事…って、なに?」



それはきっと、いつも1人で抱え込んで、言葉にしないから。


どんなに辛くても、悲しくても、言葉に出すという方法が、たまらなく難しくなってしまったから。



私はるぅに、教えてもらったんだよ。


涙を流すって事を。




「私に、言わなきゃいけない…事?ってなに?」



そして、慶兄に、素直に気持ちを言葉にするという事を、教えてもらったんだ。



どんな話かも予想もつかない。

でもきっと、何かを抱えてるんだよね?



瑠衣斗の顔が一瞬固まり、そのままゆっくりと目を伏せる。


長い睫毛が頬に影をつくり、思わずその綺麗な顔に見とれてしまいそうになる。



泣いているようにも見えるその顔に、瑠衣斗の抱えている物の大きさを、垣間見た気がした。