「……―い、…おい、もも?もも?」



息をのむように、ハッと目を開けた。


肩で息をする程、私は汗だくになっている。


心臓がドキドキと暴れ、落ち着かせる事もできない。



「もも…大丈夫か?」




私の顔を覗き込む顔が、心配そうに揺れている。


その瞳に映る私は、酷く脅えたようで、まるでそんな自分と目があっているような錯覚に陥る。



「もも?怖い夢でも見たのか?」



私の顔に手を添えて、優しく包み込むような瑠衣斗の温もりに、いつの間にか入っていた肩の力を抜いた。



口を開けて声も出せない私は、目を伏せると小さく顔を横に振る。


喉が震えて、きっと今私から出される声なんて、本当に酷いものに違いない。





この時期が近付くと、毎年同じ夢を見る。


そして、それが怖くて眠れなくなる。



目が覚めても、ひとりぼっち。誰も抱き締めてくれない。




「大丈夫だ…大丈夫」



包み込むように、瑠衣斗が私を抱え込む。


一瞬離れようと腕に力を入れた所で、私はすぐに力を抜いた。


「大丈夫。俺がいる」



その言葉は、私の胸に染み入るようだった。