「下で待ってる」
私の返事も聞かないまま、瑠衣斗は部屋を出て行ってしまった。
さっきまで感じた違和感に、私はどうすればいいかも分からず、ただぼーっと瑠衣斗が出て行ってしまった扉を見つめた。
何だろ……私、まためちゃくちゃ我慢させちゃった?
そう思った所で、何となく違う感じがする。
じゃあ一体、私の感じた違和感は、何なんだろうか。
そう思った所で、瑠衣斗を待たせてはいけないと思い、慌てて着替えを始めた。
言わなきゃいけない事って何だろう。
悪い話…?全く想像もつかないや……。
何だかまた不安がふつふつと沸き、溜め息がこぼれ落ちそうになる。
そう思い出すと、私の悪い癖でもある悪循環が始まる。
付き合うとかそういう言葉のない関係だからこそ、不安になる。
やっぱり、今まで通りで…とか?そんな話?
でも…何だろう。違うような気もするし……でもどっちみち、悪い話…なのかな。
乗り気になれないまま、鞄を手に部屋を出た。
階段を少し下りた所で、玄関で座り込み、煙草を片手に一服をする瑠衣斗の背中が見える。
やっぱり何だか、変…かも。
そんな思いを打ち切るように、私は勢い良く階段を下りた。
「るぅ、お待たせ」
できるだけ自然に。できるだけ明るく。
そうでもなきゃ、私は不安で一杯になってしまいそうだった。