「……着ないのか?」
「えっ、き、着るっ」
何だろう…。ホッとしたには違いないのだけれど、何だか違和感を感じた。
何と言うか…何だかるぅが、小さく感じた。
図体が小さいとかそんなんでは勿論なくて、何だろう…寂しい?苦しい…?そう。苦しそうに感じた。
そしてそれは、私に対してではなく…何か違うものに。
慌てて服を着込むと、袖から顔を出した途端、再び抱き締められる。
「…るぅ…?」
「……ちょっと…このまま…」
ポツリと呟く瑠衣斗は、私の髪に顔をうずめるようにして、何だか苦しそうに呟く。
何でそんなに苦しそうなの?
何を…言おうとしたの?
思わず瑠衣斗を抱き締めたくなった。
胸がギュッとして、切なくなる。
るぅは何か、抱え込んでいるように思えた。
それがなぜ、私にはそう思えたのかは分からない。
「…ゴメン。行くか」
「え?…あ、うん…」
気を取り直すように、私から腕を解いて言う瑠衣斗は、いつもの瑠衣斗だ。
顔は見えなかったけど、今見上げた瑠衣斗は、いたって変わりない。
そんな私を、もう立ち上がった瑠衣斗が見つめ、ふわりと笑うと、私の頭をくしゃりと撫でたのだった。