化粧も終わり、瑠衣斗の様子を伺うと、横になったままピクリとも動かない。
開けっ放しの窓からは、夏らしい風が流れ込み、瑠衣斗の髪を揺らす。
大きな入道雲と青い空、濃い緑の山のコントラストが、とても気持ち良い。
きっと地元では、エアコンが手放せないだろうけど、ここは影になる場所は本当に涼しい。
寝ちゃったのかな?朝も早かったみたいだし……。
声を掛けるのも何だか可哀想に思い、静かに腰を上げる。
私の鞄は、瑠衣斗が寝ている所から物凄く微妙な距離にある。
でもまあ、寝てるみたいだし、とりあえず着替えておこうかな。
そんな風に簡単に完結し、私は鞄から適当に服を取り出すと、一応瑠衣斗に背を向けたまま着ていた部屋着を脱いだ。
ふと視線に何かが入り、何気なくそれを確かめるように手をあてた。
「………う゛!?」
驚きの光景に、驚愕する。
私の腹部から胸に致まで、赤い花びらを散らしたようなキスマークが残っていた。
なっ…なっ…えぇ!!
こんなにたくさん……!?
恥ずかしさと驚きで固まる私は、私に伸びてきた腕に全く気付かないまま、いとも簡単に腹部から強く引き寄せられた。
「なに固まってるの?」
「!!」
驚きすぎて言葉の出ない私は、いつの間にか後ろから抱き締める瑠衣斗に、全く気付かなかった。
服を着ていないせいか、肌で瑠衣斗の着ている物を一枚隔てているだけで、一段と瑠衣斗の感触と温もりに顔から一気に冷や汗が吹き出してくる。
腹部に回された腕に、肩越しらすぐ私の耳元に寄せられた瑠衣斗の唇。
もう、ダメだと思った。
本気で心臓、止まると思った。