写真は変わり、幼い俊ちゃんが映し出され、美春と俊ちゃんと入れ替わり映し出される度に、周りからは可愛いなんて声が上がる。
俊ちゃんは、小さい頃から何だか無愛想で逆にとても笑えたが、そんな余裕もなくなっていく。
美春の写真には、全て私が一緒に写っていた。
そして、その全ては、私の父が撮った物だった。
写真を撮る事が趣味だった父が、必ず焼き増ししては美春の両親にあげていた事を覚えている。
たまに写り込む人影に、胸が苦しくなる。
写真の中の美春と私が、成長していくと共に見ている余裕がどんどんなくなっていく。
中学生頃になると、私の表情は何だか堅いモノへと変わっていた。
「何だよ〜もも反抗期だったのかぁ!?」
「はは…そうかもねぇ……」
龍雅の声に、気のない返事しかできない。
私が、反発しだした頃かな…。
セーラー服で迎えた入学式。
物心つく頃には、既に家庭教師や塾に通わされ続け、順位と成績にしか目を向けてくれなくなった両親に、私は笑う事がなくなった。
お父さんは、一瞬でも、カメラのレンズから私を見てくれていたのかな……。
中学の卒業式には、口元は微かに笑っているが、既に目つきすら冷たい物だった。
美春は笑っているのにね。
そして、高校の入学式の写真に、思わず釘付けになった。
美春の家族と、私の家族。
美春と私を囲むように、みんなが笑っている。
久々に見る家族の笑顔に、胸がえぐられるように痛む。
そんな風に……笑ってるいのは何で??
優しい笑顔に、私は包まれていた。
何だかとても嬉しそうに笑う両親と、太陽のように眩しい笑顔で写っている弟に、胸がざわつき、熱くなる。
「みんな…いい顔してんな」
「だなぁ…」
瑠衣斗の言葉に、慶兄がポツリと同意する。
何で?そんな風に笑っているの……??
二人は……―――。
私を見てなんかなかったじゃん。
見ていたのは私じゃなかったじゃん。