壊れだした私に気付かないまま、瑠衣斗が言葉を紡ぎ出す。
「ずーっと、俺だけに笑いかけてほしかった」
「…うん」
ポツリポツリと、呟くような瑠衣斗は、多分眠いのだろうか、少しずつ目を伏せてきている。
目は合わないけれど、私は瑠衣斗の言葉を聞き逃さないように、耳を傾けた。
「いつも、どうやったら笑ってくれるか…考えてた」
「…うん」
不器用だけど、本当に分かりにくい優しさだけど、瑠衣斗はいつも私のそばに居てくれた。
いつも隣に居て、どっちかと言うとあまり余計な事は話さないし、無口で、他の人には笑いもしないで……。
「多分俺、高校入ってすぐ…多分……」
すぅ…と、寝息を立てる瑠衣斗に、私は背中に手を回した。
無意識なのか、それに応えるようにして私に腕を回した瑠衣斗に、自然と笑みが零れる。
今聞いたばかりの言葉を、何度も何度も思い返した。
大したもんだね。本当にすごいね。るぅの我慢強さは。
そうして私は、瑠衣斗の言葉を何度も頭の中で反復しながら、そっと目を閉じた。
温かい温もりが、何よりも愛おしい。
多分俺、高校入ってすぐ……
多分、一目惚れだった。
最初は好きとか、そーゆう感情が分かんなかったけど……。
そんくらいから、ももの事
ずーっと好きだよ………。