しばらく他愛もない会話をしていく内に、ものの数分で缶酎ハイを3本も開けてしまった瑠衣斗に、変化が現れ出す。
目がトロンと潤んでいて、顔もポッと赤い。
首筋までほんのりと赤く染まり、明らかに酔っているようだ。
「るぅお水飲みなよ?」
「うん」
やけに素直な割に、意外と意識はハッキリしているようだ。
私が飲んでいたミネラルウォーターに口を付けると、三分の一程度残っていた全てを飲み干す。
こんなに水分取って…お腹タプタプになっちゃうんじゃ……。
そんな私の心配を余所に、瑠衣斗はふらりと立ち上がると、私の腕をとって立たせ、布団に向かう。
スッと私の腕から手が離れたかと思うと、瑠衣斗は布団にうつ伏せに横になる。
「うーん…さすがに回った」
「大丈夫?」
「バッチリ。寝る」
何がバッチリか分からない瑠衣斗に、苦笑いが漏れる。
私は部屋の照明を豆電球ほどに落とすと、瑠衣斗の体の下になってしまった布団を必死に引きずり出し、瑠衣斗に掛けた。
眠ってしまったのか、ピクリとも動かなくなってしまった瑠衣斗に、頬が緩む。
だいぶ乾いた瑠衣斗の髪は、若干ふわりとしていて、起きたらきっと爆発している事が予想される。
それでも、サラサラとした髪にそっと触れ、指を通すようにして頭を撫でる。
寝顔…可愛いなあ。
胸がぽかぽかして、瑠衣斗の幼い寝顔の可愛さに抱き締めたくなってしまう。
そんな私に向かって、パチリと閉じていた瑠衣斗の目が開かれる。
「ゴメン、起こした?」
慌てて手を引っ込めようとした私に向かって、瑠衣斗の長い腕が私の手を捕まえる。
「来いよ」
私が何を言うよりも早く、引きずり込まれるような形で布団の中に引っ張られる。
瑠衣斗の腕の強さに驚いていた私は、気付くと瑠衣斗にしっかりと抱き締められていた。