「何か飲むか?」



瑠衣斗は笑いながら私を解放すると、備え付けてある冷蔵庫へと足を向ける。


その後に続くように、私も後からついていく。



開けられた冷蔵庫の中を覗き込むと、ミネラルウォーターが目に入る。



「お水」


「ほいほい」



しゃがみ込んだ瑠衣斗がそれを取り出すと、私はそれを受け取る。


テレビも付けていないせいか、室内はとても静かで外からのカエルや虫達の声がよく聞こえる。


すぐ近くのテーブルに近付き、ふかふかの座布団に腰を下ろすと、私の隣に座布団を引き寄せた瑠衣斗が腰を下ろす。


手には、瑠衣斗には何とも不似合いなレモン酎ハイ。


お酒弱いのに、珍しい…。


そんな私の視線に気付いたのか、瑠衣斗が私に目を向ける。


「…何?」



そう言いながらも、瑠衣斗は片手で器用にプルトップを開ける。


そのまま何の気なしに酎ハイを傾けると、再び私に視線を向ける。


「…だから何」



不思議そうな視線を向けた瑠衣斗に、私は思ったままの事を口にした。


「うん…珍しいなって」



「そーかあ?」



答えながらも、休める事なく缶酎ハイを煽る。


あまりにもペースが早いもんだから、逆に心配になってくる。


「大丈夫?すぐ酔っちゃうよ?」


「かもな〜」



何だかよく分からないまま、私もミネラルウォーターのキャップを捻り、口に流し込んだ。