「…俺を修行僧にする気か」
見上げた瑠衣斗の瞳は熱っぽく、ほんのりと赤く染まる。
修行僧?何言ってんだろ。
全く言われた意味も分からず、首を傾げる。
そんな私に、うやうやしく瑠衣斗が口を開く。
「誘ってんの?ブラしてねーのかと思ったじゃねえか」
「…あ!!」
「あ。じゃねえよ、あ。じゃ…やっぱりシャワー…」
「ごっゴメン!!てゆーか、ほっ…ホック取ったのるぅじゃん!!」
「そりゃそうだけど、付ける暇ぐらいあっただろう」
「う…忘れてて…」
あぁもう…私、空回りしまくってる。
これじゃあるぅも大変ですよね。
恥ずかしさで顔が熱くなるの、今日だけで何度目だろう。
今付けようにも、そんなタイミングじゃない事ぐらい私にも分かる。
またシャワー浴びてくるって言わせるだけだよね。うん。
ずーんと気持ちが沈むようで、落ち込む。
何で気付かなかったんだろう……。女として問題あり?
ここで謝るのも何か可笑しい気がして、何も言えなかった。
「もものこーゆう抜けた所、好きだしいいけどな」
瑠衣斗が笑う気配がして、こっそりと視線を上げる。
ふわりと笑った瑠衣斗が、私の背中に手を入れて、ホックを付けてくれる。
すごくドキドキしたけれど、瑠衣斗が穏やかに笑ってくれるから、安心して任せられた。
「もっと俺に、これから沢山いろんな顔見せて」
頭を優しく撫でられ、そんなセリフに胸がキュンとする。
さっきまでの不安が、嘘のように思える程、私の胸の中は満たされていた。