初めては、ただ単に“俊、美春結婚おめでとさ〜ん”なんてメッセージが映し出され、まさか写真が映し出されるなんて予想もしていなかった。
ビデオレターとかかと思ってたよぉぉぉ!!
「ちょー…っとかなり恥ずかしいんだけどぉ!!」
声を押し殺し、なるべく目立たないように身を潜めた。
小学校へ上がり立てであろう。
真新しい真っ赤なランドセルを背中に背負った私と美春が、ピースをして校門をバックにニッコリと笑っている。
「かっわいいなぁ〜。あれがもも?」
「……激しくムカつくっ」
一言何か言ってくれてもいいのに!!
「美春のママンから借りてきた」
やっぱり!!!!
スクリーンを眺めながら、口元で笑っている慶兄に何も言う気も起こらない。
チラリと美春のお母さんとお父さんを見ると、懐かしむような顔で映し出された写真を見ている。
あまり記憶はないが、唯一覚えている事があり、胸が震えた。
私と美春の足元に、カメラを構えている影が写り込んでいて、思わず目を逸らした。
――……お父さん…。
無邪気に笑う私と美春は、あの時どんな気持ちでピースなんかしてたんだろ。
どんな気持ちで、お父さんはカメラを構えていたの……?