「ちゃんと笑うって」
「ならいいけど」
周りも何も気にならないのかな?るぅってたまに予想不可能な所あるんだよねえ。
そう考えると、何だか可笑しくて笑えてきてしまう。
普段なら、慶兄が気になって慌ててしまうと思う。
でも、場の雰囲気と、そっと後ろで繋がれた手に、実は周りをきにしてる?なんて思えて可笑しい。
「はーい!!じゃいっきまーす」
昔っからそうだった。
私を笑わせようと、るぅはあれこれとちょっかいを出してきたんだ。
「さーん」
なかなか笑わない私に、マジ切れした事もあったっけ。
「にーい」
私が少しでも笑うと、とびっきりの笑顔で笑い返してくれたっけ。
「いーち」
あの八重歯が可愛いんだよね。
図体でかいし態度もでかいのに…。反則だよ。
フラッシュが一瞬、視界を真っ白にする。
目の奥にまで届くような眩しさの中に、瑠衣斗の手の温もりが強烈に掌に焼き付くようだ。
美春の温もりも感じているのに、私は何故こんなにも意識し過ぎてしまうんだろうか。
「はーい、おっけ〜」
グッと、惜しむかのように一瞬強く握られた手が、ゆっくりと解かれていく。
少しだけ、寂しさを感じてしまう私は、どうしようもなく酷い女だろう。