「俊も大変だな…」


「間違いねぇな」



ポツリと呟く瑠衣斗に対して、慶兄もポツリと呟いた。


そんな二人の言葉に気付いている様子もなく、美春は「カメラマンさぁ〜〜ん!!」と元気良く叫んでいた。



そんな美春を、俊ちゃんは軽くえくぼを作り、優しい眼差しで美春をみていた。



「あ、そう言えばウェルカムボードあったろ?入れたら?」


宗太が思い出したように言うと、美春が勢い良く振り返った。


「入れる〜!!」



そんな美春に対して、みんなが笑みを零す。


いつにも増してはしゃいでいる美春は、誰からみても幸せそうだ。


白い母のドレスを、こんなに綺麗に可愛く着こなしてくれて、素直に嬉しい。


この二ヶ月間、いろいろやる事が多くて大変だったけど、そんな事も吹っ飛んでしまった。



宗太が出入り口まで行き、ウェルカムボードを持って戻ってくると、ちょうどカメラマンの同級生もピントを合わせ始めている所だった。


ウェルカムボードは、前もって全員でメッセージやイラストを書いて、俊ちゃんと美春のツーショット写真なんかを貼っておいたものだ。



「はいはい、主役の二人は中央だぞ〜」


「ももは隣に写って!!」


「はいはい」



そっと美春の隣に並び、手を繋がれた。


それは俊ちゃんとじゃ…と思ったが、そのまま手を繋いでおいた。



周りには、そんな様子を見ようと人だかりができ始めている。


時々飛ぶフラッシュに、少し戸惑いながらも、隣に居るであろう慶兄を見上げて瞬きをした。


――…あれっ?