こうして普通にしていても、何も気にしてないフリしても、一時も頭から離れる事はない。


昨日の車内での事、夜のお風呂での事、そして、今朝の事…。


考えても仕方がない事かもしれない。でも、考えてしまうのも無理はない。


付き合っている訳でもないし、まだまだ分からない事だらけだから。



何だか手の内で踊らされているんじゃないか?とまで思ってしまうのは、きっと間違いなんかじゃないと思う。


こんなにも、常にドキドキと意識させられてたら、本当に体が保たない気がする。


雲でも掴んでしまったかのように、何も掴めない事がもどかしい。


こんなに一緒に居るのに、私は瑠衣斗の事が全く分からない。

瑠衣斗の気持ちが、分からない。



思わせぶりなら、やめてよ。

気持ちが別にあるのなら、期待させないでよ………。




「はい、お待たせ〜」



声を掛けながら部屋に戻ってきたヨネさんの声に、ハッと考えていた事を強制終了させる。


何だか気分がジットリと曇り空のように重くなるのを、隠すようにして顔を上げた。


考えても仕方のない事は今更だ。今は楽しまなきゃ損だよね。


1人で不景気な顔なんてしてても、場を盛り下げるだけだ。



「うちのナンバーワンの子のだぜ!!搾りたてだぜ!!」


「ナンバーワンておにいさん!!くっそ妄想しちゃうじゃねえかー!!」



……うん。そうね。

1人シリアスになっても無駄よね。



テーブルに並べられた物は、期待通りグラスに注がれた牛乳だった。


こういった牧場とかで、やっぱり一番に思い付く物と言えば、ソフトクリームってイメージだったけど、新鮮な牛乳を飲める事は贅沢だと思った。


「煙草。吸いてえんだけど」


「うちの子(牛)に教えないでよっ!?不良!!」



…地域によって、不良のイメージ…??は様々なのかな。

…うん……。