連れたってお邪魔した建物の中は、とても綺麗で清潔感がある。
入ってすぐ目に付くものは、壁一杯の大きな窓だ。
広い牧場を見渡すには、申し分ない大きさで、冷房の効いた室内には燦々と降り注ぐ太陽の光が暖かい。
入ると仕切るようにして、ガラス張りで中の様子が見える部屋がある。
よく見ると、何か作業台のようなものが沢山おかれ、とても広い。
「もう今日は終わっちまってんだけど、ここで乳製品も作ったりしてるんだ」
「うちの冷蔵庫にもここの牛乳とヨーグルトが入ってた」
「もっと買え」
「むしろくれ」
牧場とかに行った事のない私は、初めて見る物に驚かされっぱなしだ。
何もかもが新鮮で、目に映るものにもいちいち感動してしまう。
「ここは普段は、地元の人が買いに来たりするだけだから、…いつでも牛に舐められに来ていいぞ」
ヨネさんの言葉に宗太があからさまに吹き出しながら、私までもつられて吹き出してしまった。
きっとヨネさんも、お祭りが大好きに違いないと思う。
「良かったな。バイト先が増えて。しかも女しかいねえー」
「そうだなあ〜、振られてもここで癒やされ…っておーいー。何で振られる前提〜」
何も言わず、笑顔で龍雅と瑠衣斗を見つめる宗太が、怖い。
そんなトライアングルを見ているのが、楽しい。
なんて言ったら龍雅に絡まれるのが目に見えて分かる私は、ひっそりと笑いを堪えておいた。