どうやらここは、ヨネさんのお家が持つ牧場のようだ。
そして、瑠衣斗の幼なじみでもあり、小学校、中学校での先輩でもあるようだった。
「もともとはまた違う場所にもこーゆう所あるんだけどね。そこは観光用で」
「観光用?こことはどう違うんですか?」
「ここは一般には解放してなくて、牛達のストレス発散する場所っつったらいいのかな〜」
元々は、ここに居る牛達は違う場所に居て、ストレスで牛乳が出なくなってしまうのを防ぐために、ここで定期的にゆっくりさせる場所らしい。
一体何坪!?何ヘクタール!?って思っても分からない程の広大なこの場所とはまた別に、そんな場所があるなんて本当に驚かされる。
「ヨネっちは後継ぎ?」
ようやく落ち着いた2人が合流したのは、それから数分後だった。
すんなりと打ち解けてしまった2人に、さすがだなぁとは思ってはいたが、打ち解けすぎなのではないだろうか。
「後継ぎ…って言ったら後継ぎになるのかな〜。まあ、この生活は好きだしな」
龍雅の言葉にそう答えたヨネさんは、本当に穏やかに答えた所を見ると、ここでの生活を楽しんでいるように見える。
最初に見えた建物は、どうやら牛舎のようだった。
そこに隣接するようにある建物は、搾乳した牛乳を出荷するためのものがあると言ったヨネさんが、再び指を指す。
「ま、見てけよ」
「乳!?乳搾り!?」
「……龍雅が言うとヤラシイ…」
「なんだと!?もちろん人間の女の子には適わねえぞ!!!!」
「………」
私の言葉に、予想通りな返答をしてくれる龍雅は、本当に期待を外さないから凄い。
と言っても、こうして楽しませようとして言っている事は、きっとみんなも分かっているのだろう。
龍雅ってそういう奴だ。