突然向けられた視線に、ピクリと体が反応してしまい、慌てて隠すように頭を下げながら声を出す。
「あっ、違いますっ!!」
そんな私に対して、怪訝そうな声を上げたのは瑠衣斗だった。
「何だよ……そのアイサツ…」
「えっ、あっ…ももです……」
恥ずかしさに軽く俯くと、そのこげぱんと呼ばれた人が笑う。
あぁもう…失敗した。
「めちゃくちゃ可愛いじゃん!!あ、俺は米倉誠司。ヨネって呼んでくれ」
「こげぱんだろう。お前は」
「…持ってくんぞ。こげぱん」
何だろうか。このやり取り。
てゆーか、やっぱりるぅってどこでもこんな風なんだ。
小さく感動しつつも、話に交わる事もできない私は、2人のやりとりに目を向ける。
やっぱり目の端では、龍雅と宗太。それに気づかなかったけれども、いつの間にか一緒にももちゃんが楽しそうに2人の間を走り回る。
どうやらヨネさんは、私達よりも2つ年上らしい。
先輩後輩とも見受けられないやり取りは、友達や幼なじみ…?と言う感覚だろうか。
「昨日帰ったんだって?連絡ぐれーしろよ」
「しなくても今頃街中にバレてる」
「バレるとか何だよ。おめーは芸能人か何かか」
笑うヨネさんは、やっぱり爽やかお兄さんだ。
ヨネさんの言葉に、先程までの由来さんのお店での出来事が蘇る。
あれだけの人気者…みんなに知られているらしい瑠衣斗なら、確かにそう言う言い方も可笑しくない気がしてきてしまう。
思わず笑いが漏れた私に、瑠衣斗はやっぱり私に目を向けた。
恥ずかしそうなムカついたような、何とも言い表せない可笑しな顔で。