「どこでもいいの?」
「え?ああ。どこでもいいよ」
そんな瑠衣斗の返事に、私はある場所を思い付く。
「やべえ〜!!俺彼女できちゃうかもー!!」
「…何でここまで来てバイトする気がしれねえ」
「俺は明日から頑張って働くぜ!!!!」
テンションの高い龍雅を余所に、そうやって自ら冒険できる事に対して、率直にすごいなと関心する。
キッカケはやっぱり女の子なんだけども、ある意味龍雅にとっては、全てにおいての原動力なんだろう。
「何しにここまで来たんだよ」
笑いながら言う瑠衣斗の言葉は、もっともだと思う。
でも、龍雅の性格を考えれば、誰とでもすぐに打ち解けてしまう龍雅に、誰も心配も何もないので引き止めたりはしないのだろう。
「俺は常に、新鮮な出会いを求めてんだって。愛の狩人だー!!!!」
「ま、いんじゃない」
簡単に締めくくった宗太こそ、冒険がきっと大好きだろう。
思いもよらない展開ではあるけれども、それはそれで良い思い出にもなりそうだ。
しばらく走っていた車は気が付けば少し山を登ってきたようだ。
青々と茂った木々を抜け、整地された綺麗な道を行く。
行き先も知らされていないまま、車に揺らされていた私は、開けた先の景色に眩しさで目を細めた。
「何ここ…すごい…」
見渡す限りの広大な土地に、大きな雪山をバックに牧草地が広がる。
そんな中に、比較的綺麗な建物が、牧草地を見渡すように建っていた。