あっ…そう…ですか。


何か私、鈍い子じゃん。


って、鈍いから鈍感って言われてるんだよね。


「ちょっとは気付いたりできたら、周りは楽だろうなぁ。なあ?るぅ」


「う?そ、そう…だな…」



感づく…もうちょっと、周りに目を向けるようにしなきゃって事だよね。


何となく、心が陰るようだ。


言われてみれば、そうかもしれない。


私は、周りからの好奇心や同情の目に、自ら視線を避けるようになっていたから。


気付かないよう、感じないよう、視線から逃げた。


「早く気付いてやれよ?」


「…え?」



早く気付いてやる…?

早く気付く……。


「……何に?」



宗太の言葉足らずなセリフに、何かが隠されているように感じた。


でも、それは何なのか、全く私には分からない。



「そうだ!!宗太いつ釣り行くんだよ」


「ぶっ…俺?」



何だか焦っている様子で言う瑠衣斗に対して、笑いを堪えるようにして吹き出した宗太に、私は眉をしかめる。


「俺明日から旅館にお手伝い行ってくる〜!!!!」


「吉原さん…?釣り堀やってるみたいで、いつでも来いってさ。川も付き合ってくれるらしい」


「あぁ〜…吉原のおっさんね。良い人だよ。酒付き合わされるけど」



見事に私の質問スルーなんですけど。

しかも何か、龍雅と被るんですけど。



「ちょっと。無視しないでよ…龍雅と一緒にはしないで」



「…ももちゃん俺泣きそう」