「またね〜!!楽しんでおいでね〜!!」
店の外まで出て、由良さんがとびきりの笑顔で手を大きく振って見送ってくれている。
気付けば結構な時間が過ぎていた頃には、お客さんが入れ替わるようにして、ランチにやって来たのだ。
これからも忙しくなるに違いないので、私達は邪魔にならないよう、やっと席を立った。
「おねーいさぁ〜ん!!また来ま〜す!!」
目尻を下げすぎている龍雅を、宗太が苦笑いしながら引っ張る。
私も軽く手を振りながら、そんな2人の様子に苦笑いをする。
瑠衣斗は軽く手を挙げたきり、踵を返すように振り返りもしないまま車へと向かっていってしまった。
太陽はどんどんと真上に近付き、強い日差しが肌に痛い。
地面に容赦なく照りつけ、反射する光に、自然としかめ面となってしまう。
車に乗り込もうとドアを開けたが、夏特有の車内の暑さに、汗がどっと吹き出るようだ。
「はあ…。何も考えずに行ったのが失敗だった…」
どっと疲れたように吐き出された言葉に、運転席に座る瑠衣斗を見た。
エアコンからの急速な冷気に、瑠衣斗の髪が靡く姿すら見とれてしまう。
「何が失敗だって?」
からかうような楽しげな宗太が、後部座席から顔を出して瑠衣斗をニヤリと見る。
「いや…溜まり場になってる事すっかり忘れてた」
「そうか〜」
やっぱり何だか楽しそうな宗太と、後ろでクスクスと笑う龍雅に、私は疑問符が頭に浮かんだのだった。