そんなの、知らない。


瑠衣斗が居て当たり前だった。



そしてそこには、美春と俊ちゃんが居て、必ず宗太と龍雅が居たから。


瑠衣斗は元から何だか怒っているような、ツンとした顔をしているので何とも思ってなかった。


それに、私達には普通に笑ったりしていたし、みんなにも普通にそうなんだと思っていたんだ……けど。



「普通…じゃないの?」


「ももちゃんは相変わらず鈍いねぇ」



まなみの言葉に、思考回路がついていかない。


鈍い?何が…?



それ以上何も言わないまなみに、戸惑う視線を向けるしかない。


「ももー!!も〜もぉ〜!!」



沢山の同級生たちに囲まれた先から、美春の声が聞こえた。


どう首を巡らしても、美春の姿を捉える事ができず、あわあわと慌てる。


「人気者だな。ももは」



クスッと笑った慶兄に視線を移し、ドキッとする。



慶兄は、まなみの話をどういう気持ちで聞いていたのだろう。


「そんなんじゃないよ……」



考えれば考える程、慶兄の真意なんて分からない。


え!!松風の兄貴!?

ちょーかっくいいんだけど!!



話題は慶兄に既に移っていたが、慶兄はどこ吹く風のように気にしてもいない様子だ。



「本当に…ライバルが多いなあ」


「…意味分かんないよ」




「いたーっ!!ももちっちゃすぎー!!写真撮ろうよ写真!!」



人垣を掻き分けて顔を出した美春に、思わずホッと胸を撫で下ろした。


これ以上、慶兄に変に思ってほしくなかった。



まなみの言葉は、私に衝撃を与えるには十分なモノだった。