宗太が言うには、るぅは分かりやすいらしいけど、私には全くるぅの考えている事が読めない。
そればかりか、いつも戸惑ってばかりなのに。
「とりあえず、ももは俺と一緒に居ればいい」
何となく口を噤んでいた私に向かって、突然瑠衣斗の声が届く。
跳ね上げるように、下げていた視線を瑠衣斗に向けるが、相変わらず不機嫌そうな表情に、私は首を捻る。
「う…ん?」
心なしか、少し頬が赤く染まる瑠衣斗に、私の視線は釘付けだ。
何だろう…。よく分かんないけど、ずっとそばに居れる…って事には違いないんだろうけど。
何だか胸がポカポカとする。
こんな瑠衣斗の表情に、私はつい見とれてしまっていた。
「…何だ。そんなに見られたら穴が空く」
やっと私に視線を向けてくれた瑠衣斗は、何だか少し照れているような、不機嫌さを混ぜたような表情をしている。
ひょっとしなくても…ヤキモチ…?だったり…?
……そんな訳ないか。
「見てないよ。観察してるの」
「俺は植物か何かか」
相変わらず店内はパタパタし、宗太と龍雅も大人気なままだけれど、私の心はポカポカと暖かい。
さっき言われた瑠衣斗の言葉と、真意の読み取れない表情に、私の胸はドキドキと鼓動する。
そんな私に向かって、ニヤリと八重歯を覗かせた瑠衣斗が、意味深に笑う。
「今晩、1人で寝るか?」
そんな言葉に、一瞬悪寒が背筋を走り、私は思い切り瑠衣斗を殴ったのだった。
「本気で夜怖くなるから止めて!!」
そう言った私を、瑠衣斗はいつまでも笑い、私はそんな瑠衣斗の笑顔に、胸がポカポカと暖かくなるのだった。