「だから何で笑うんだ」


思い切り眉間に皺を寄せた瑠衣斗が、怪訝そうに私に目を向ける。


そんな姿ですら、今の私には瑠衣斗がこの店で働いていた姿を想像させるのには、とても良いおかずだ。


「ねえ、ちゃんと接客できてたの?」


「…何だよ、その言い方は……」



実は私って、片思いって立場ではめちゃくちゃ幸せ者なんだと思う。


こうして、そばに居られる事も、その人が育った土地に一緒に居られる事も、端から見ればとても贅沢なのかもしれない。



「あ、大輔さん?って、どんな人?」


「会うつもりか」



「聞いてるだけでしょ」



あからさまに不機嫌そうな瑠衣斗に、今は何を言っても嫌味のような返事しかもらえそうにない。



るぅの地元の友達が、どんな人なのか聞きたいだけなのになあ。


…てゆーか……。



「何でこう…そんなに不機嫌なわけ?」



「…不機嫌なんかじゃねえよ」



「うそ」


「うそじゃねえ」



どう見たって、不機嫌にしか見えない瑠衣斗に、私は軽く息を吐く。


そんな当の本人は、相変わらず肘をつき、しかめっ面で私と目を合わせようとしない。



「…顔怖いもん」


「悪かったな。生まれつきだ」



こんな時こそ、龍雅のバカみたいに高いテンションで絡んでほしい。

が、相変わらず宗太と共にお客さんと絡んでいる龍雅は、盛り上がりすぎて帰って来る気配なんてちっともない。



本当に、るぅってよく分かんない。