「あれが瑠衣斗だよ」


そんな私の視線に気づいたように、慶兄が瑠衣斗に向かって指を指した。


見られてた…?


一瞬ヒヤリとするモノを感じて、慌てて瑠衣斗から慶兄に視線を移した。


弾かれたように瑠衣斗に視線を移したまなみは、目をまん丸くさせている。


「…あ。本当だ……。変わってない」



慶兄は、そんなまなみの様子を笑って見ているが、その先には瑠衣斗を写しているようにも思えた。


不思議そうにこちらを見る瑠衣斗に気付いた同級生が、私達に気が付くと、声を上げてゾロゾロと近付いてくる。


「唯ノ瀬じゃーん!!久しぶりだなぁ〜!!」


「お、まじだ!!久々〜!!」



え?え?てゆーか…絶対気付いてたよねぇ?


あれだけ目立つように美春に抱き付かれてたんだから……。



すんなりと私達を囲んでしまい、四方八方から声が掛けられ、戸惑うしかない。



打って変わって、さっきまでと違う雰囲気に、再びヒヤリと冷や汗が吹き出しそうになる。



な、何なの…この状況。



「相変わらずモテモテだあねぇ♪」


そう言うまなみに、慌てて視線を上げた。


「な、何言ってんの!?」


生まれてこの方、モテモテだった時期なんてないんですけど。



そんな私の気持ちなんて、まなみには伝わる事はやっぱりなかった。



「昔は常に、怖〜い顔して松風くんがももちゃんのそばに居たからねぇ?」


「……え」