何にも言わない瑠衣斗を不思議に思い、隣を歩く瑠衣斗をふと見上げた。
……えっ。
「うっ…な、何だよいきなり…」
見上げた瑠衣斗は、目が合うと直ぐに顔を私から逆へと向け、表情が見えなくなってしまった。
でも、私は見てしまった。
「るぅ…?真っ赤…だけど…」
「はっ、はあ?光…光のせいだよ」
でも…。
「耳も赤いし」
そんな私の言葉に、やっと顔を向けた瑠衣斗は、やっぱりまだ顔が赤いままだ。
何か私恥ずかしい事言ったっけ?
不思議に思う私をよそに、瑠衣斗はおもいきり嫌そうな顔を私に向ける。
色素の薄い瞳を細め、口をヘの字にするするが、顔が赤いため何の迫力もない。
見たことのないような瑠衣斗に、笑いが漏れる。
「本当にるぅって意味分かんない」
「…宗太と俊には分かりやすいって言われる」
「分かんないよ」
本当にるぅって、何考えてるのか分かんない。
それが、るぅを好きになってから、もっと分かんなくなっちゃった。
2人でそんなやり取りをしながら歩いてくると、目の前に立派な建物が姿を表した。
茶色い、木造の古い建物だと分かるその本堂からは、その存在感だけで歴史を感じられる。
「着いたぞ」
「ちょっと何不機嫌になってんの」
素っ気なく言い放った瑠衣斗の言葉からは、不機嫌さが手にとって分かるようだ。
「ご機嫌に決まってんだろう」
「ふうん。顔怖いのに?」
「生まれつきなんだけど」