チラッと見上げた瑠衣斗の横顔は、どこか懐かしむような、穏やかな顔で前を見据えている。
綺麗な整った横顔に、釘付けになる。
「こうやって、誰か連れて2人で来るの、初めてだ」
「そうなの…?」
どうしよう。嬉しい…なんて思っちゃった。
私の言葉に、瑠衣斗は目を向けると、はにかむようにして笑った。
そんな姿に、ドキッと胸が跳ね、一瞬息ができなかった。
「ちっちぇー頃は、よく兄弟で来てたんだけどな」
「由来さんと慶兄も?」
「ああ」
ちっちゃい頃のるぅと慶兄かあ…きっと可愛いんだろうな。
今まで全く、家族の話や地元での話をしなかった瑠衣斗から、こんなにも沢山話が聞けて嬉しかった。
懐かしむような口振りに、私はどうしようもなく胸が切なく疼く。
もっといろいろ聞きたい。
でも、聞いてもいいのか分からない。
頭の隅にあっても、その存在感は何よりも大きい弟さんの事……。
どうしても、私からは触れてはいけな気がしていた。
「何か…すごい」
「は?何が?ココが?」
思考をよそにやるべく、私は思った事を素直に口に出した。
「まあそうなんだけど…」
「けど?」
「…るぅの…思い出が沢山ある場所に来れて、すごいなぁって」
好きな人の、そーゆう話、誰だって聞けたら嬉しいんだよ。
きっと…。