少し行くと、大きな鳥居が私達の前に現れた。
多くの木々が茂り、雨音に葉がシトシトと鳴る。
瑠衣斗の家に行く前に、車の中から見た鳥居とは何だか少し違って、こうして見上げると、とても重圧感があって迫力だ。
「近くで見るとおっきいね」
「ももからしたら、何でもでかく見えるんじゃね?」
「朝から人をムカつかせないの」
この減らず口、何とかならないもんだろうか。
嫌らしく笑う瑠衣斗から顔を背けて、傘で隠した。
ムカつく。けど、こうして2人で居れる事が嬉しいと思う私は、やっぱり痛い。
「ごめんって。んな怒んなよ」
傘をグイッと掴まれ、再び目が合う。
そのまま何故か、自分の傘を閉じてしまった瑠衣斗に意味が分からず見上げた
え?雨降ってるのに……。
私の疑問をよそに、そのまま瑠衣斗は背を屈め、私の傘の中へと入ってくる。
「な、どっどうしたの?」
「ん〜?」
何も答えないまま、私から傘を奪うと、途端に視界が広がる。
私の身長からでは、傘のせいで隠れてしまっていた景色あった。
それが、瑠衣斗が傘を私から奪い、傘を持ってくれた途端、広い景色が目の前に広がった。
「これ一本で十分」
一気に縮まった距離に、私は顔が熱くなるまま瑠衣斗を見上げた。