「改めて再確認とかしなくていいからっ」


何でそうやって、すぐからかうかなぁ。


少し唇を噤んでみるが、何の効果もないだろう。


「んなヘソ曲げるなよ。で?どうした?」



優しく笑いながら言う瑠衣斗に、胸がドキンと音を立てる。


周りが見えなくなるようで、そこに居る瑠衣斗しか目に入らなくなるようだ。


思わず見つめていたくなる気持ちを慌てて打ち消し、私は口を開けた。


「どこ行くのかなって」


車を通り過ぎ、私達は田んぼに沿って道を歩いている。


「すぐ分かるよ」


「…ふうん?」



答えてくれそうにない瑠衣斗に、曖昧な返事をすると、瑠衣斗はフッと微笑むと、すぐ前を向き直した。


道沿いに咲く小さな花々は、雨を受けて葉を青々とさせている。


時折田んぼから、チャポンと跳ねる音がして、カエルが人の気配に驚いて田んぼの奥へと逃げているようだ。



「…ふっ…楽しい?」


「え?」


笑いを堪えるような瑠衣斗の声に、顔を上げた。


今にも笑い出しそうな瑠衣斗に、訳が分からず何も言えない。


そんな様子に、瑠衣斗がついにクスクスと笑い出す。


「えっ!?ちょ、何?」


いきなり笑い出してしまった瑠衣斗に、本当に意味の分からない私は、ただ呆然と瑠衣斗を見上げるしかなかった。