きっと、おじさんとおばさんは本当に毎日楽しんでいるんだ。
そんな事を感じさせる程、2人の笑顔はにこやかだ。
「あらっ!!パパもうこんな時間!!早く出発しなきゃ!!」
「本当だね」
「のんびり一服してないで!!」
おばさんに急かされるようにして立ち上がったおじさんは、ニコニコしながら煙草をもみ消した。
「ママは本当に慌てん坊…」
「無駄口叩かないのっ」
おじさんの言葉を遮り、食器を水桶に沈めたおばさんは、慌てておじさんの腕を掴む。
「じゃあももちゃん、この家の中、好きに使ってちょーだいね」
「えっ、あ、はいっ。行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃーい」
おばさんは早口にそう言い、私と留衣斗の言葉を聞くと、バタバタと私に向かって手を振るおじさんを引っ張り、再び奥の部屋へと消えた。
呆気に取られていると、再び部屋から出てきた2人は、キッチンを通り過ぎるまでに手を振って、慌ただしく家を後にしたのだった。
途端に静かになった家の中に、私と瑠衣斗だけがポツンと居るようだ。
「…仲良しだね」
「そこかよ」
ガックリとする瑠衣斗を見ると、横目でチラリと視線を向けられる。
訳も分からず視線を合わせていると、溜め息を吐いた瑠衣斗が口を開く。
「うるせーだろ」
「…ラブラブだね」
否定するようにして言った私を、瑠衣斗はげんなりした顔で見つめた。
「ラブラブ…とか言われると……息子からしてかな〜り微妙……」
そんな瑠衣斗の言葉に、私は素直に笑ったのだった。